ホテル旅館業は売掛金管理の難しい業種の一つです。
私たちは数多くのホテル・旅館業の経理を見てきましたが、この業種の売掛金管理は3つの意味で難しいと思います。
売掛金の消込作業が難しい
フロントシステム搭載の売掛金管理システムの使い方が煩雑
未回収金の取り立てが難しい
これら業種特有の難しさがホテル・旅館の売掛金担当者の方々を悩ませているようです。
私たちは比較的規模の小さいホテル・旅館様には、エクセルでの売掛金管理をおすすめしています。もちろん、売掛金管理機能を搭載したフロント会計システムをお使いのホテル様には、その機能を活かしたやり方もご案内しますが、使い勝手の問題でエクセル管理をされる会社が多いです。
また、紙の売掛金台帳を作成されている会社様については、ITリテラシーの問題でエクセルで管理するより、台帳管理をした方が正確にできる場合も多いので、無理にエクセルへ移行せず、紙の台帳で必要な項目を正確に記録していただけるようお願いしています。
(1)まずはエクセルで売掛金の発生を正確に記録する
掛売、クーポン、バウチャー、優待券、地域補助券など、現金売上以外の売上はすべて売掛金として管理をします。日付と売掛金の発生額、宿泊者氏名、売掛先名(エージェントなど)をエクセルで記録します。その日一日の合計額が、売上日計表の現金売上以外の金額と合致するよう、毎日チェックします。
フロントシステムがある場合、この作業はほぼ自動でやってくれるのでとても楽です。
また、コツとしてはエクセルに記録するときに、売掛先名を細かくしすぎないことがとても重要です。入金時に消込作業を行いますので、JTB、農協観光、リクルートなど入金してくる会社名を売掛先として区分するのがベストです。
(2)売掛金の消込をする
ホテル・旅館の場合、売掛金の入金は、売上からエージェントへの送客手数料やあっせん手数料が差し引かれた額が入金されます。また、一日分の売上ではなく、半月分やひと月分など、エージェントによって異なる期間がとりまとまって入金されるため、感覚的な消込作業はできません。ただ、①のエクセル作業できちんと売掛金の発生日と売掛先が分別されていれば、エクセルの集計機能を使用することで、エージェントからの売掛金入金明細との突合は簡単にできます。この集計作業がシステムよりエクセルの方が融通が利くので、やりやすいことが多いようです。
入金明細に記載された売上げ金額と、売掛金管理エクセルに記録した売上が違うというケースは、本来ならあってはいけないのですが、実務上はよくあります。そんな時は、事実関係を確認して正しい方に合わせましょう。
(3)未回収金の取り立てをする
大手のエージェントからの入金は明細もきちんとしていて間違いないだろうとの認識で、入金確認をしないホテル・旅館様もいらっしゃいますが、売掛金入金確認をすると、大手エージェントであっても精算ミスがある場合がございます。ホテル旅館様サイドで必要な手続きを忘れていて、入金が遅れているケースもありますので、必ず入金確認をすることをおすすめします。
また、小規模の総合案内所などは長期滞留すると、案内所自体がなくなってしまうこともあるので、要注意です。
(1)(2)(3)をこなしていけば売掛金管理はできます。
しかし、
実際にやってみると、毎日作業するのが億劫になってついついため込んでしまったり、金額が違うなどの些細なミスが続いて嫌気がさしたりするものです。
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